プラトン『饗宴』の初級註釈書

後半をしばらく放置していましたが,本文はこれで読了.

Louise Pratt氏によるプラトン『饗宴』の初級向け註釈書です.『饗宴』は話の場面がやや複雑で,ソクラテスも同席した宴の様子をアリストデモスがアポロドロスに話して聞かせ,その内容を今度はアポロドロスが友人に語ってあげるという形式になっています.そのため慣れないうちは,話の内容よりもこの入り組んだ間接話法に手間取ってしまう欠点がありました.そこでこの本は前半部分をすこし読みやすく書き改めて,途中(Reading 6)からBurnet版(OCT)に準拠したStephanus number入りのテキストへ移行する形をとっています.
巻末に語彙集があり,註釈も初学者への配慮あるものとなっています.一点気になったこととしては,文法事項を参照させる場合に,同じ著者の初級文法が指示してある箇所もあるのですが,Smythへ一本化してほしかったということでしょうか.

ギリシア語の初歩を終えた次のステップとしてとても好い本だと思います.

Louise Pratt, Eros at the Banquet, University of Oklahoma Press, 2011

Eros at the Banquet: Reviewing Greek With Plato's Symposium (Oklahoma Series in Classical Culture)